ミトコンドリアはエネルギー産生工場です


ミトコンドリアは、細胞内に1,000〜3,000個も含まれている細胞内小器官です。酸素と食事から得られた水素を利用して、エネルギーの素であるATP(アデノシン三リン酸)を作ります。ミトコンドリアの老化が健康長寿の大敵であり、ピンピンコロリのためにはミトコンドリアの健康を維持することが大切になります。

 ミトコンドリアの働きの中では、
 1)ATPの合成
 2)酸化ストレスの制御
この2つがピンピンコロリに大きく関与します。

 運動など人間が行う活動には、ミトコンドリアで合成されるATP(アデノシン三リン酸)から作られるエネルギーが必要です。元気で健康的な生活を送るにはより多くのATPがなくてはいけません。ではどうすればATPを増やせるのでしょうか?一番簡単な方法は適度な運動を続けることです。運動習慣はミトコンドリアの量を増加させ、より元気な人生を約束します。
 なお、ミトコンドリアを元気にする方法として運動以外にも特定の食事法などがあります。これに関しては後日報告させていただきます。

 活性酸素による酸化ストレスが老化に深く関わることはよく知られています。活性酸素の制御にはミトコンドリアが重要な役割を果たしています。ミトコンドリアにはSODなどの抗酸化酵素があり活性酸素の害を軽減します。逆に、ミトコンドリアからは活性酸素の大部分が発生します。このようにミトコンドリアは活性酸素の調節に関し諸刃の剣といえる側面を持っています。ならば有益な抗酸化酵素を増やし、有害な活性酸素を減らす方策はないのでしょうか?おわかりでしょうか、適度な運動習慣はミトコンドリアの質量を改善することにより、酸化ストレス軽減に有用な手段となります。

 適度な運動習慣は高性能なミトコンドリアを増やし健康長寿に導きます。

ミトコンドリアと活性酸素の関連 興味のある方は読んでください

 ミトコンドリアの質と量を改善することは、酸化ストレスの軽減にきわめて重要です。なぜなら、活性酸素の9割はミトコンドリアで発生し、活性酸素を消去する抗酸化酵素)もそこに存在するからです。活性酸素の害を減らすには、性能の良いミトコンドリアを増やすことにつきます。

少しきつめの運動をすると、エネルギーとしてアデノシン三リン酸(ATP)が消費されます。運動が続くとATP不足となり、それが筋肉の細胞内にあるAMPキナーゼという酵素を活性化します。AMPキナーゼは長寿遺伝子であるサーチュインのスイッチをオンにし、サーチュインはミトコンドリアの量を増やすPGC−1αというたんぱく質を活性化します。サーチュインはFOXOというたんぱく質も活性化することにより、ミトコンドリア内の抗酸化酵素(SODやカタラーゼ)の増加も引き起こします。ミトコンドリア量が増え、抗酸化酵素も増加、つまり高性能のミトコンドリアがたくさん作られることにより、活性酸素の悪影響を減じることができるのです(下図参照)。

運動によるミトコンドリアの性能アップ



※)抗酸化酵素は、たんぱく質とミネラルから合成され、活性酸素を消去する酵素です。



宮原隆志(元みやはら医院院長)の健康と芸術に関するひとり言

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