血管病(心筋梗塞・狭心症や脳卒中など)は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病の存在下で、血管に対する酸化ストレスが血管内皮細胞に障害を与えることから始まります。生活習慣病の発症前や病初期に適度な運動、バランスのとれた食事(塩分制限や血糖値を上げない食事法など)、禁煙などの生活習慣改善を行うと、血管の老化は抑制され動脈硬化の進展は起きにくくなります。一方、生活習慣の乱れが続くと血管の老化は徐々に進行し心筋梗塞、脳卒中、腎不全などの重大な病気の発生につながります。 血管病と認知症にも強い関連があることが報告されています。三大認知症の一つである血管性認知症は、直接的に血管の障害で起きる病気です。一般には小さな脳梗塞により脳の機能障害が起きることが原因であると考えられています。また、認知症で約半数を占めるアルツハイマー型認知症でも糖尿病と強く関連することが報告されています。久山町研究によれば、糖尿病の人はアルツハイマー型認知症が通常の2.1倍、血管性認知症が通常の1.8倍リスクが高いと報告されました。高血圧症の人は血管性認知症が通常の1.8倍リスクが高いと報告されました。このように、血管を老化させる生活習慣は認知症へつながっていくことをしっかり学んでください。 血管病を予防・改善するにはどうしたら良いのでしょうか。簡単に言えば、血管の番人である血管内皮細胞の働きを維持・改善する必要があります。内皮細胞は常に血液と接しながら、血管壁を守るためにいろいろな働きをしています。主たる内皮細胞の役割は、一酸化窒素を分泌して血管を十分に拡張し、全身に十分な血流を送ることにあります。つまり、内皮細胞の機能が維持できていれば全身に十分量の血液、酸素と栄養、が供給されます。 内皮細胞を元気にするには、(1)適度な運動(詳細は運動1または運動2参照)、(2)バランスのとれた食生活(食事の項参照)、(3)ゴキゲンな生活(詳細はコチラ)、(4)禁煙、(5)良質な睡眠などにより、内皮細胞の機能を改善しつつ、同時に内皮細胞への酸化ストレスを軽減する必要があります。 興味あることに、内皮細胞を元気にする生活習慣は血管病に加えて、認知症、がんおよび骨・関節疾患の予防にもつながることがわかっています。しっかり勉強して理想の生活習慣を実践すれば怖いものはありません。 ピンピンコロリを目指す方は、本ホームページを参考にして危ない生活習慣を改善してください。
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