地中海料理は世界一の料理です


 オリーブオイルとナッツを豊富に摂取し、野菜、果物、豆類、きのこ、魚介類、全粒穀物、赤ワインなどをバランス良く摂るのが地中海料理の特徴です。地中海料理は世界一の料理であるとよく言われますが、実際がん、動脈硬化性疾患、認知症、糖尿病、肥満など多くの病気を予防することが知られています。抗酸化物質食物繊維を豊富に摂取するため、酸化ストレスに強いこと、腸力がアップすることが地中海料理の健康効果に大きく寄与するとすると考えられます。

 健康や寿命の観点から、地中海料理の優秀さが世界的に注目されたのは、米国のアンセル・キーズ博士が、1975年南イタリア料理の素晴らしさを発表したことによります。ヨーロッパの地中海沿岸などでは、心臓病やがんの発生率が低く、「その地域での食生活が病気の減少に関連しているのでは?」と予想して、世界7か国にまたがる大規模な調査を始めました。その結果、地中海沿岸地域では、北欧や米国に比べ、心筋梗塞などの心血管病の発症率が1/3以下であることがわかりました。地中海地方ではオリーブオイルと野菜たっぷりな食習慣があるのに比し、北欧や欧米では肉やバターなどの動物性脂肪の摂り過ぎが心血管病の増加に関与したと推測されました。
 その後食事が私たちの健康維持のための大きなカギを握っていることは明らかにされました。地中海料理は動脈硬化、がん、認知症などの健康長寿の前に立ちはだかる病気の予防に効果があり、長寿につながる食事であることが最近の研究で明らかにされました。地中海料理の内容を示します。

1)緑黄色野菜や果物が豊富で、抗酸化作用の強いビタミンとファイトケミカルを多くとることになり、活性酸素から体を守ることができる。
2)野菜・豆類・きのこ類の料理が多く、食物繊維を多くとることにつながる。
3)GI値の低い全粒の穀物(パスタ)を食べることが多く、血糖値をあまり上げない食事法である。
4)青背の魚が多く、体に良いオメガ3系不飽和脂肪酸をとりやすい。
5)牛肉や豚肉のような赤い肉を控えて、仔牛・仔羊の飽和脂肪酸が少ない肉をとっている。
6)オレイン酸、ポリフェノール、ビタミンなどを多く含むナッツ類もよく摂取する。
7)メインに使う油はオリーブオイルである。
8)調理面では、香りの高いハーブをうまく使いって塩分を控えている。
9)少量から適度の赤ワインを飲む。

これらの食習慣の特徴ををまとめると、次のようになります。
 1)抗酸化物質が多く、酸化ストレスに強い
 2)血糖値が上がりにくい食事法である
 3)食物繊維が多く腸力アップにつながる
 4)良質の油をとっている
 5)塩分控えめの食事である。

地中海料理の良いところをよく理解し、日常の食生活の中に地中海料理を取り入れていただき、血管病や認知症を予防できればピンピンコロリに近づきます。




宮原隆志(元みやはら医院院長)の健康と芸術に関するひとり言

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